2011年1月11日火曜日

はじめまして、ロハス!

2010年11月30日、私たちは月刊誌「ソトコト」の編集者スティーブ・ジャービスさんにお話を聞くことができた。「ソトコト」はロハスピープルのための快適生活マガジンである。スティーブさんは、今まで扱ってきた記事を取り上げながら、私たちにエコ活動やロハスについて多くのことを語ってくれた。しかし、話を聞きながら私たちには共通の疑問があがった。「ロハスってなに?」という初歩的なことであった。テレビなどでなんとなく聞いていた言葉であったが、スティーブさんの説明を受けてもっと自分たちで調べたいと考えた。また、ロハスとソトコトの繋がりにも焦点をあてたいと思う。


<カルチャー・クリエイティブって?>

ロハスについて説明する前に、まずアメリカにて1980年代から徐々に増え始めたカルチャー・クリエイティブ、訳して「新しい文化を創る人々」について説明したい。かつてアメリカ社会の体系は、主軸をなす近代主義と、対抗軸をなす伝統主義に大きく分けられた。そして、この2つと全く異なる意識と価値観と行動パターンをもつ第3の潮流がカルチャー・クリエイティブである。彼らは、エコロジーや地球環境、人間関係、平和、社会正義、自己実現そして自己表現に深い関心を寄せる。彼らの生活は伝統主義者の生活と似ているところもあるが、根本的な考え方が違う。伝統主義者は近代のメディアや産業を受け入れようとはしない。一方で、カルチャー・クリエイティブにとっては近代主義の物語は既に破綻しているのだ。例えば、カルチャー・クリエイティブがマクドナルドに行かないのは、それがただ単にゴミを出しすぎるから、健康に良くないからではなく、その空間が悪趣味で、味がまずいと感じるからなのだ。


<次世代ビジネスLOHASの誕生>

私たちがロハスについて調べ始めた時、とても驚いたことがある。ロハスという言葉は、カルチャー・クリエイティブのライフスタイルを営利活動に結び付けるために生み出されたマーケティング用語なのだ。1990年代後半、アメリカ中西部ロッキー山脈の麓にある美しい街、コロラド州ボールダーにあるGAIAM社はカルチャー・クリエイティブを新しい市場に見立てて、LOHASというコンセプトを提案した。家庭用品、衣料品、クリーンエネルギー商品など関連商品をセレクトあるいは独自に作ってウエブサイトを通じて販売するようになっていた。LOHASとは「Lifestyles Of Health And Sustainability 」の頭文字をとったもので、直訳すれば「健康と持続可能な社会を志向するライフスタイル」となる。「次世代」、「発展途上国の人々」、「人類以外の生物」への“思いやり”を持ち、個人の心と体の健康だけでなく、社会や地球の健康にまで配慮したライフスタイル、それがロハスに託された本来の意味である。


<日本でロハスが普及するきっかけとなった「ソトコト」>

日本で最初に「ロハス」を紹介したのは2002年の日本経済新聞だった。しかし、「ロハス」という言葉が日常的に聞かれるようになったのは、2004年に入ってから。この年、「ソトコト」がロハス特集を組み、日本に浸透し始めた。ソトコトは自らを「ロハスピープルのための快適生活マガジン」と謳っている。もともとはエコ以外にファッションの記事も扱っていたソトコトだが、いち早くロハスという着眼して、それに特化したことは、この雑誌の強みと言える。

・ロハスデザイン大賞
環境負荷の小さな商品や社会貢献につながるグリーンな製品やサービス、あるいは、誰もが参加できるボランタリーなアクションや画期的なアイデアなど、私たちが暮らしのなかで実行できる様々なグリーンアクションをエントリーし、みなさまの投票によって「ヒト」「コト」「モノ」各部門の「ロハスデザイン大賞」を決定するイベント。2010年特別賞はECOアイドリングが受賞!

・ソトコトロハス塾
紙面を読むだけでなく、体感するロハスがコンセプトのユニークなカルチャースクール。ピラティスやボサノバ、廃材デニムでぬいぐるみをつくるなど、本当に様々なソトコトならではのロハスを学べるのが特徴。


<日本におけるロハス>

日本では、世界的に有名な音楽家の坂本龍一さんが風力のみで発電された電気を使ったコンサートを開催したり、20~30代の女性を中心にヨガやマクロビオティック(玄米・野菜・海草を中心とした食事)などが身体の内側からも美しくなる方法として人気が高まったり、こうしたこともロハスの普及に一役買ったと言える。そうして、女性誌やテレビ番組が次々にロハス特集を組み、認知度が徐々に上昇している。意識すると、テレビ番組で扱われるエコなどは、ロハスに精通するものがある。ロハスという考え方は日本にもともとある「自然に感謝する」という価値観と共通しているな、と感じた。

<参考文献>
・「ロハスビジネス」大和田順子 水津陽子 朝日新書
・「スロー快楽主義宣言!」辻信一 集英社

<記者>
越田香苗
渡邉芙美

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