“エコとファッション”はもはや切り離すことのできない密接な関連性を持っています。現在のファッションシーンにおけるエコの在り方と今後について書いていきたいと思います。
『ソトコト』編集部スティーブ・ジャービスさんのお話から
11月30日、マスコミュニケーション論Bの授業を通しエコ雑誌『ソトコト』編集部スティーブ・ジャービスさんと対談する機会をいただきました!スティーブさんはとてもフレンドリーな楽しい方で、貴重なお話をたくさん聞くことができました。スティーブさん曰く「『ソトコト』は当初、エコファッション雑誌として創刊開始し、ファッション雑誌のジャンルに属していた」そうで、実際に現在でも『ソトコト』本誌にはファッションページが存在します。この事実からも“エコとファッションの関連性”というものを見て取ることができます。
collection and eco
ファッションデザイナーたち (特に現在のファッションシーンを牽引するデザイナーたち)の多くは、現在“地球環境”に対し真摯に考え、ファッションを媒介にそれを表現しています。毎シーズン世界各地で開催されるコレクションでは、数多くのデザイナーたちが大自然をモチーフに作品を生み、彼らの自然賛美や大自然に対する畏敬の念を自由に表現しています。故アレキサンダー・マックイーンは2010ssコレクションにおいて、産業革命前後における地球環境の対比を表現しました。その際、次のようなコメントを残しています。
PHOTO by Shuzo Sato (fashion news)
アレキサンダー・マックイーンは地球環境の変化に対し、産業革命を機に人類と自然のパワーバランスが逆転し、環境破壊が始まったと考えました。そして、マックイーンは彼自身の世界に対する見解と人類が世界に対し行ってきた行為に対する見解を、大胆かつアグレッシブに、また同時に精密な美しさを伴い、2010ssコレクションにおいて表現して見せました。このコレクションから私はマックイーンの自然に対する敬愛と環境保護に対する熱望(焦燥感をはらむ)を強く感じました。そして、それは同様に彼のコメントからも感じることができ、すなわちコレクションを通じ彼が主張しようと試みた内容そのものではないかと私は思います。
環境問題に対する強い関心を示しているのは、アレキサンダー・マックイーンだけではありません。マックイーン以外にもヴェロニク・ブランキーノ、イッセイミヤケ、クリストファー・ケイン、クリスチャン・ディオール、ジル・サンダー、ロダルテ等、様々なビッグメゾンにおいてデザイナーたちが地球環境や自然に対する自身の意識をコレクションを通し次々と表現しています。
Alexander McQueen 2010ss
First look 産業革命以前
Last look 産業革命以後
fashion products and eco
オーガニック素材やリサイクル可能な素材を使用したエコラインをつくる等、より実践的なエコに取り組んでいるデザイナーもいます。彼らは自らのクリエーションに則った様々なエコプロダクツを生み出しています。
フィリップ・リム(NYを拠点とする人気デザイナー)はバーニーズNYとコラボし「Go Green Go by Phillip Lim」を展開しています。このエコラインではsustainable fabrics(持続可能な生地)を用い、化学染料を使用せず自然染料によるearthy colorで彩った様々な商品を展開しています。特に白のオーガニックコットンを使用したワンピースは秀逸です。
“Save at Pole”
PHOTO by Marc Jacobs official web site
エコファッションと商業主義
現在、エコファッションはますます普及してきています。ファッションシーンを牽引しているデザイナーたちがエコに対し言及し、次々とエコ商品発表に乗り出していることからも、今後より一層ファッション業界においてエコが重要性を増していくことは確実なのではないでしょうか。しかし、ファッション業界におけるエコが商業性を帯びていることは否めない事実のように感じられます。今後エコが普及していく中で、エコの元来の意義“地球環境の保全”“生物多様性の保全”が見失われず、エコとファッションが共に発展していくためにも、我々消費者がエコに対し正しい知識を身に付け、真摯に考えていくことが必要だと私は考えています。
おまけ! ‐‐“アンチ・エコバッグ”
PHOTO by Fashion News
東京ブランドデザイナー“ケイスケ カンダ”のデザイナー神田恵介によってエコブームとファッションを皮肉ってつくられたユニークな商品。一見普通のエコバッグに見えますが、産業廃棄物処理用のずだ袋使用した、100%ピュアな化学繊維でできた、エコとは対極のバッグです。神田恵介氏曰く「“エコって胡散臭くない?”なんて疑問に思ってほしいんですよ。“エコってやっぱ大切じゃん”と感じてもらっても結構。要は世の中に流されず自分の頭で考えてみましょう、ということ。無邪気に正義ヅラしてる人がイチバン怖かったりするもんです。」確かにそうだと思います。そしてうさみみの女の子がとってもかわいい!
参考資料:
Fashion News
NYLON
VOGUE
記者:大橋 翠
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